コラム

自由研究のコツ

この夏期講習、夏休みの習字課題や勉強の補習の他、新たに小学高学年向けに英検5級対策と自由研究のお手伝いもしました。

冬休みにもプチ自由研究のような課題があり、そちらも行ったのですが、そちらより、少し本格的に。

一つは水中にメダカやエビがいることによって水質や水草の成長にどのように影響があるか、もう一つはナスの皮から酸性・アルカリ性をチェックできる試験薬を作り、ついでにそれを使って色付きのセロハンに晒されると光合成や呼吸にどう影響がでるかを確認する物でした。

どちらも準備がそこそこ大変だったわりに、思ったより有意な差が観察できず微妙な感じでしたが、自由研究で大切なのは期待通りの結果を出すことにあらず。

自由研究で大切なのは、

・科学的な目標設定をする

・科学的な検証方法を設定する

がまず大切です。

その上で、

・科学的な根拠・推論に基づいて予想を立てる

・結果からわかることを客観的に記述する

・実験結果からわかることを論理的に考察できるか

です。

むしろ結果ありきで考察部分を書くのではなく、期待通りでなくともあくまで得られた結果から推測できることを結論とする、なぜ上手くいかなかったのかの原因と改善方法を考え記す、というほうが科学的姿勢という意味では身につけてほしいと期待されている部分でしょう。論文の改ざんというニュースも少なくないですからね。

自由研究のやり方と手伝いまでするなんて、我ながらえらい塾だな、とか思いつつ、指導して思ったこと。

観察や考察の部分の記述や考え方が未熟だな、というのが危機感というか、今の教育で補うべき課題だなと思いました。

例えばどんな反応をするかという考察において「普通の反応」という言葉が出てきたり。「普通」とは何を基準に?

あるいは観察をするにしても、色や見た目などの表現が大ざっぱすぎて、どういった変化が起こったのか伝わらないものだったり。

つまり、主観的な表現と客観的な表現、第三者が読んで誤解なく伝わる表現を書こうという意識が低すぎますね。

よく学校では感想を書くことが求められますが、むしろまずは客観的に見たままを他人に伝わる文章を書く練習が必要なのかもしれません。主観的な言葉と客観的な言葉を意識して使い分ける訓練ですね。

また、文章中に述べられているのが客観的な「事実」なのかその人の「意見」なのかを読み分ける視点を身につけることも大切でしょう。こちらは国語の授業の読解で行っているでしょうが、おそらくほとんどの子が理解できていない。自分で書くことで、強く意識することが必須でしょうが、なかなかそこまでできていないの現状なのでしょう。

習字を教えている経験からしても、よく「視る(観る」ことができる、またそれを言葉で表現できるという子は、習字の上達も早いし賢い子が多いです。「視る(観る」力は才能の一部かもしれませんが、一方で周りの大人が声をかけて見方や視点を言葉で示すことで養われる部分でもあると思います。

理科の自由研究は手間がかかる分、その子の総合的な力が試されますね。逆に言えば総合的な力を鍛える良いきっかけにもなるということです。

良い授業になったなぁと思いつつ、やっぱり大変だから来年からは追加料金と思いました。