洋書紹介

”The Saga of Darren Shan”(『ダレンシャン』シリーズ)

 日本でも有名な児童書です。イギリスでの出版が2000年~2004年で、日本語版の出版は2001年~2004年。
 第1巻の日本語タイトルが『ダレンシャン 奇怪なサーカス』。ダレン・シャンは主人公の少年の名前で、著者の名前ともなっています。邦題にある「奇怪なサーカス」というのが、いわゆる化け物(フリーク)の登場するサーカスで、好奇心からこのサーカスを観に行ったことによって少年の運命が大きく動き、半ヴァンパイアとして闇の世界で生きていくことになります。児童書というくくりなのですが、バイオレンスなシーンがたくさんです。

また、児童書とされつつも、登場人物の心理描写や物語全体の構成や伏線がしっかりしていて、大人でも楽しめます。ファンタジー物が嫌いでなければ、多読の材料としてとてもお勧めです。

英語はすごく易しい、というわけではないですが、難解な表現などはほとんどないと思います。すべて主人公の一人称視点で描かれているので、場面や状況がわかりやすく、そうした意味でも英語多読にお勧めのシリーズです。

このシリーズは10年以上前に日本語版を一通り読みました。…が、その当時はまったく印象に残らず、洋書で読み直した時にはほぼ全く内容を覚えていませんでした。しかし、日本語ではその全く印象に残らなかった物語が、英語で読むととてつもなく面白く感じられたのだから不思議です。物語序盤、ダレンが吸血鬼として生きていくことを決意する友人を巻き込んだ事件や、後半での異世界的な場所に放り込まれる部分など、なぜ覚えていないのか?というくらい英語版で読んだ時には引き込まれました。
 10冊以上に及ぶ長編ですが、そこかしこに伏線が散りばめられ、最後にはきちんと回収されます。物語の中盤に入るあたりから行動を共にすることになるHarkatの、良き相棒感がいいですね。長い旅路を共にする仲間感を味わえるのも長編小説の醍醐味かもしれません。

英語多読をはじめて少し慣れてきた、もっと長いシリーズに挑戦したい、という場合に最適かも。世界観に好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ハマる人はハマるので、とりあえず1巻目でも良いかも。Amazonで最初の2,3冊は200円くらいで買えます。