コラム

読書感想文の作成例 その2

 二つ目は保坂直紀さんの『クジラのおなかからプラスチック』という本を読んでの感想文です。こちらは物語ではなく、ノンフィクション、現代社会が抱える問題を扱った本です。

 私たちはプラスチックを食べているかもしれない、と言われたらどう思いますか。そんなことありえないと思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。

 現在、世界中の海には大量のプラスチックゴミが漂っています。それらを食べてしまったり、体に巻きつけてしまったりして、クジラや亀、海鳥などの多くの海の動物たちが傷ついています。大型の動物だけではありません。細かく壊れてしまったプラスチックゴミは、マイクロプラスチックと言って、小さな魚たちがえさとまちがえて食べてしまうのです。この本の中では東京湾を泳いでいるカタクチイワシの体内からマイクロプラスチックが見つかった例が出ています。そうした魚たちを、私たちは食べてしまっているかも…。食べるために作られたわけでもなく、ゴミになってしまったプラスチックを体に入れてしまっているかと思うと、私はとても怖くなりました。

 そして何よりも動物たちがかわいそうで、胸が苦しくなりました。同時に、どうしてこんなにもたくさんのプラスチックが海に流れ着いてしまったのだろうという疑問を持ちながら読み進めました。

 プラスチックはとても便利なもので、身の回りの様々なものに使われています。たとえば、飲み物を入れるペットボトルやスーパーのレジ袋、文房具など。私たちが触らない日がないほどです。

 身の回りのたくさんのものに使われているということは、それだけたくさんのプラスチックゴミを私たちは出しているということです。たとえば飲み終わったペットボトルのゴミやお菓子の包装ビニールが道に落ちているのを見たことはありませんか。それが海の近くでなくても、排水管を通ったり、風に飛ばされたりしたものが川に流れ、海までたどり着いてしまうプラスチックゴミもたくさんあります。一人ひとりが出すゴミは少ないかもしれません。しかし、たくさんの人がそんなことをしたらとてつもない量のプラスチックゴミが出てしまいます。

 実際、現在1年間で1000万トン以上のプラスチックゴミが世界中の海に出てしまっているらしいです。そしてそれらのプラスチックは自然の中で完全に分解されることがないので、ずっと海にありつづけることになります。  ではこれから私たちはこのプラスチックゴミの問題とどうむきあっていけばいいのでしょうか。(以下略)

 ノンフィクション系の本は、使われる言葉が普段聞きなれないものが多いので、読むのが大変だと感じる子も多いと思います。しかし、現実に起こっている問題が題材なので、疑問や当事者意識を持ちやすく、作文も書きやすいことも多いです。普段ニュースなどをよく見て、社会の動きに興味がある子や何か好きな分野がある子に向いている本の選び方かと思います。